Blenderを始める、初心者を脱する、ステップアップするにはチュートリアルを参考にするのが一番近道です。
自分の力だけで複雑なBlenderソフトを使いこなすのは難しいですし、知らない機能も人から教わらないとなかなか勉強できません。
そこで私がいつも参考にしているBlenderの大変素晴らしいビデオチュートリアルサイトを二つ紹介します。
ただし、チュートリアルは英語になるので、英語が全く分からない方は難しい部分もあると思いますが、字幕機能などもあるのでそれを使ったり、Webサイトのまとめを見て予習しながら観たりするといいと思います。全ての動画はWebサイト上で文章と画像にしてまとめられているので、動画を見るのが難しい人は、そちらをGoogle翻訳を使ってみるのもありだと思います。
Contents
Blender Guru
Blender界で一番有名なビデオチュートリアルサイト/団体。
主にオーストラリア人のアンドリュー・プライス氏が解説をします。
超初心者向けの講座から、踏み入った技術的な話、新しい技術の紹介、アート面でのアドバイスなど様々な分野に渡りBlenderの使い方、CGについて解説しています。スタイルは基本フォト・リアリスティック(写実的)。
ここのチュートリアルは全部見た方がよいってくらいホントにいい!
特にアンドリューが話上手で、基本的にチュートリアルは一時間くらいある長いものになるんですが、楽しく見ることができます。
中でも私がオススメするチュートリアルビデオを、YouTubeのBlender Guruチャンネルからご紹介します。動画内でのレンダリングエンジンははほぼ全部Blender Cycleを使用しています。
1、Blender初心者講座 パート1 ユーザーインターフェース
Web版:https://www.blenderguru.com/tutorials/blender-beginner-tutorial-series/
まずはBlenderをこれから始めようという人向けの、ソフトの使い方から解説してくれる動画。これはシリーズでパート9であって、Blenderの基本をドーナッツのCGを作りかながら学べるというもの。アンドリュー先生と大事なところを押さえながら勉強できるというのがいいですね。
この初心者講座は他にもモデリングに特化したものなど色々あるのでお勧めです。
2、Blenderで錆びの作り方。
Web版:http://www.blenderguru.com/tutorials/how-to-make-rust/
これはBlenderでのモデリングはできるようになったという人のための、マテリアルの勉強ができる動画です。ホントにこのサムネイルのような凝ったマテリアル・テクスチャーの勉強ができます。これを見るとだいぶノードの使い方なども分かるようになりますし、写実的CGにおいてはマテリアルがモデリングより大切になるのでこれは必見です。
3、Blenderにおける良いテクスチャーの基礎
Web版:http://www.blenderguru.com/tutorials/basics-realistic-texturing/
この動画も引き続き、テクスチャーやマテリアルの説明ですが、テクスチャーを複数枚使って複雑なマテリアルを作る方法が、簡潔にまとめられています。上の動画はちょっと時間も長くて、一緒に作りながら学ぼうという感じですが、これはまとめ動画なので、長い動画を見るのがきつい人におすすめ。
4、フォトリアリズムについての解説
Web版:http://www.blenderguru.com/tutorials/photorealism-explained/
CGをいかに本物っぽく見せるか、ということに重点を置いたチュートリアル。これはBlenderについてではなく、CGの基礎できな話で、CG哲学的な、CGにおいて大切なことの解説になっています。マテリアルがどれだけ大切かとか、商業においてどのようにCGが使われているか…など。CGを色々作るようになって、さらに深く学びたい人、CGづくりのモチベーションを上げたい人向け。
5、PBRマテリアルの作り方(前編)
Web版:http://www.blenderguru.com/tutorials/pbr-shader-tutorial-pt1/
これはかなり技術的な部分に踏み入った話で、Blenderがまだデフォルトで対応してない、PBRマテリアル、現実世界の光の屈折について詳しく解説し、それをどうBlenderで再現するかという話になります。これができると急にCGのレベルが上がりますが、設定はかなり複雑で、難しいのでだからこそ動画でひとつひとつ解説されながら勉強するというのが良いと思います。この辺は高いCGソフトだとデフォルトで設定があるみたいなので、Blenderもそのうち対応しそうですね。
しかしこれをBlenderのノードだけでできるように最初に考えた人がすごい。
6、フォトリアリズム(写実的CG)の秘密
Web版:http://www.blenderguru.com/tutorials/secret-ingredient-photorealism/
Blenderにおけるダイナミックレンジの課題と、それに対する解決策を紹介しています。人間の目で感じられる色・光・明るさを幅をBlenderはあまり表現できないので、それを解決するためのFilmic BlenderというカラーコンフィギュレーションをTroy Sobotka氏が開発。それについての解説ですね。主に。これも上のPBR同様、CGの完成度に大きな影響を与えるので、これを見て、まぁ観なくてもFilmic Blenderをとりあえず導入すれば安いカメラからハイエンド一眼レフにレベルアップしたような感じにはなります。しかしこれを完全にボランティアで制作し公開しているトロイさんがすごい。まぁでもBlenderもそもそも無料で使えるソフトですからね。志の高い人たちはすごい。
以上私のおすすめ動画6個ですが、他にも色んな○○を作ってみた系の動画など沢山のチュートリアルがあって、とても観きれませんがどれも素晴らしいチュートリアルなので是非一つでも多く見てほしいです。
次のWebサイトは
Creative Shrimp
http://www.creativeshrimp.com/
です。こちらは上のBlenderGuruにかなりのリスペクトが見られるロシア人のグレブ・アレキサンドロフのCGチュートリアルサイトです。基本的な感じはBlenderGuruと同じですが、こっちはCGの基礎や知識というより、制作においてのテニクニックや、アートセンスに関する方により重きを置いています。あとゲーム向けのCG制作にも結構言及しています。グレブはCGのコンペティションで賞を取ったりもしているクリエーターで、CGデザイナーとして実際に会社で制作も行っていたようなので、公開している作品のレベルも高いです。
でも意外と制作のビデオを見てみると、とてもシンプルな制作過程だったりするので、やはりセンスがあるんだな、って感じです。
ロシア人なのでネイティブではありませんが、割と聞きやすいですし、ビデオはBlender Guruと違いだいたい10分くらいにまとめられているので気軽に見れますが、ビデオのテンポはかなり速く、CGをある程度分かっている人向けのチュートリアルになります。ポストレンダリングについても結構チュートリアルを作っています。スタイルはBlender Guruに比べるともっとクリエイティブでファンタジーなのが多いです。
ではCreative Shrimpチュートリアルの中からおすすめをいくつか紹介します。
1、ポートフォリオ用植物のレンダリングの方法
植物は人間にとって魅力的に感じられるもののうちの一つですので、植物がうまく作れるとCGデザイナーとしてのレベルが上がる…ということで、屋外にしろ、インテリアにしろ、ゲームにしろ、植物はポートフォリオに入れておきたいもの。
2、テクスチャーとシェーダーをミックスする14の方法
これはグレブが得意とする、複雑なテクスチャのミックス方法の紹介。かなり飛びでまとめられているのでついていくのが大変ですが、気になったとこは詳しくまた調べて勉強するといいかも。
これを見ると、グレブが作品の中で割と単純なモデルに複雑なテクスチャを使って作品のレベルをあげているのが分かります。ホントにテクスチャをいちいちUV展開するだけが制作じゃないですからね。
3、サルでも分かる12分のポストプロセッシング
これはCGをレンダリングした後の加工、主にPhotoshop上でのことですが、を解説しています。静止画向けですね。グレブのような作品スタイル、ファンタジーやゲーム向けのCGをやってる方はこれを参考にするとかなりグッとくる加工ができるようになります。こうしてみると、プロのゲームデザイナーとかでもかなりレンダリングとPhotoshopを組み合わせてますね。
4、12ステップで分かるポストプロセッシング
上の動画と内容は被ってますがグレブのポストプロセッシングは素晴らしいので。しかし最後の方「僕もよく分かんないけどこれをやっとくと良い感じがする」とか完全にセンスでやってますね(笑
5、ラフネス(粗さ)が変えるマテリアルの考え方
ラフネスがCGのマテリアルにおいてどれだけ重大か、簡単なキューブの形を使い氷を作りながら解説する動画。確かに、反射に比べて粗さについてはつい手を抜きがちですが、これが感動ものです。グレブの作品の複雑さはこういうところからも作られるんですね。やはりCGにおいてはモデリングは一つの要素でしかなく、それ以上にマテリアルの要素が大きいということを実感させられます。
6、照明テクスチャ、つまらないシーンを生き生きとさせる方法。
これもグレブのセンスが光る、今すぐ使える照明テクニックです。人間って複雑な光に敏感ですからね。
ほんとにちょっとしたシーンでも、凝ったライティングで急に魅力的になります。
前にインテリアフォトグラファーの写真加工のチュートリアルを見てたんですが、フォトグラファーもPhotoshopでかなりの”描き足し”をするんですよね。そのチュートリアル曰く、「ライトをより複雑に見せるために、色々描き足すが、それをやっても顧客は何が変わったのか気づかない、でも魅力的になったと感じる」そうで、他のフォトグラファーと比べて何かは分からないが何かが良いと言われる。とか。
CGも同じで、ちょっと複雑な影や光を落とすことで急に心にきます。
君の名は。の新海誠監督も同じことをしてましたね。現実にはない光や、二つ目の太陽さえ描き足すと。とにかくうまくモデリングやマテリアルの後は、魅力的なライティングです。
この動画を見るとホントにそうだなーって思います。シンプルなシーンが急に物語性を帯びる。
以上、Creative Shrimpからもおすすめの動画を紹介しました。
他にもいろいろ参考にしている動画はありますが、このチュートリアルサイト二つが飛びぬけているなと思います。
CGの勉強の仕方は色々ありますが、操作も制作も複雑なので、ビデオチュートリアルが一番効率がいいと私は思います。
その点ではCG先進国はアメリカですし、英語ができると参考にできる資料の数も一気に増えます。
なので英語の勉強をするに越したことはないんですが、できなくても、色々日本語に訳されたものなどもありますし、なんとかなるんじゃないでしょうか。
私も日本のCGのレベルがもっと上がればいいなと思っているので、英語サイトの翻訳やこうした英語でのCGチュートリアルの紹介などしていきたいと思います。